電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)
電子書籍についての本なので、電子書籍版を購入してiPod touch上で読んだ。
最近は以前ほど本を読まなくなったけど、それなりの数の本をこれまでに読んできて、これからもそれなりの数の本を読んでいく、というそれなりに読書好きな自分としては、やはり電子書籍への世の中の流れ、というのは気になっている。本著を読むと、電子書籍がこれからどのように世の中に関わっていくか、ということが結構ドラマティックに書かれている。AppleのiPodとiTuensの登場によって音楽業界がどのように変わっていったか、出版業界の過去とこれから進んでいくであろう道筋など、かなり興味深い内容。
ただ、その本文よりも、個人的には「はじめに」に書かれている以下の文が、核心をついている気がしている。
あるアメリカ人ブロガーはこう書いていました。
「昔はインターネットのメールのことを『email』と呼んでたけど、気がつけば『e』がとれて単なる『mail』になった。だから『ebook』も『book』と呼ばれるようになるんじゃないかな」
「Book」が今の「eBook」のことのみを意味するようになるかどうかは微妙な気もするけど、少なくとも、数年後には電子書籍(eBook)が一般的になっていくことは間違いないことだと思うし、「Book」と言ったら電子書籍(eBook)のこと「も」意味するようにはなっているだろうと思う。そしてその「変化の始まり」は既に始まっていて、僕が本著をiTunes StoteのAppとして購入した時の意識も「iTunes Storeで本を買う」というもので、あえて「電子書籍を買う」という意識を持ってはいなかったように思う。そういう変化を感じながら読むためにも、本著は電子書籍版で読むことを強くお勧めする。
それと、本著を読んでいて度々思ったのが、電子書籍が一般化した未来では図書館はどういう形態になるのだろうか、ということ。現在の図書館のように書籍を扱う図書館も残っているとは思うのだけど、それとは別に電子書籍版図書館というのもありえるのだろうか。ありえるとして、どういう仕組みになるのだろうか。
例えば、電子書籍版図書館専用のeBookリーダーが出来て、それを購入するとインターネットで電子書籍版図書館のみにアクセスできるようになっていて(もちろん無線で)、「本」を借りてから2週間でeBookリーダーから自動的に削除される、とか。ただ、削除されてもまたすぐに借りればいいや、ってなことになると、本を買う意味がなくなってしまうので、1度借りた本をもう一度借りれるのは数週間後、とか、何かそういう結構無理やりなルールを設ける必要もあるな・・・。通常の図書館だと、所蔵している本の在庫数に限りがあるので売れている本を借りるのに数ヶ月待ち、なんてこともあって、そんなに待てないからやっぱり買おう、ということになるだろうとは思うけど、電子書籍の場合「在庫」という概念自体がないので、電子書籍版図書館をやるとしたら色々と考えるべきことがありそうだ。と、そんなことを考えてしまう。これがまたちょっと楽しい思考遊びなんだな。
いずれにしても、そして遅かれ早かれ電子書籍は一般化する。これはある意味で歴史的な転換点だと思うので、その転換点の始まりに、本著を読んで参加した気になったのであった。