「販売目標にこだわる営業は、野球で言えば、監督が全選手に『3割バッターになれ』と命令しているようなもの。そんな非現実的なやり方を続けるより、『毎日1000回素振りしろ』という指示を全員に徹底するほうがよっぽど効果的だと思った」(ユニ・チャームペットケア 二神社長) (P.73)
訪問ノルマで”全員野球” – 日経ビジネス 2005年11月28日号
販売ノルマからくる悪循環により値引きが常態化し、2001年3月期から2年連続赤字に転落していたユニ・チャームペットケアに、経営建て直しのために2001年2月に送り込まれた二神社長は、販売ノルマを撤廃してしまいます。
そして、「素振り」として、顧客訪問回数とノルマとします。対象も、問屋ではなく、よりエンドユーザーに近い小売店に変えています。
この改革で、ユニ・チャームペットケアの2005年3月期の売上高は前年同期比14%増の268億8000万円、経常利益は同45%増の22億5000万円に拡大。さらに、2004年10月に上場した株も、今年11月中旬時点の株価は4000円台と、高値で推移しています。
3割目指すより、毎日1000回素振りという基礎トレーニングを徹底して行う。
二神社長は、この考え方を自社の営業スタイルの改革という形でトライして成功していますが、個人の成長という観点からも大いに参考になる考え方だと思います。
どんな目標でも、そこに辿り着くには、日々の小さな行動の積み重ねです。3割バッターになろう!って目標を紙に書いて壁に貼っただけでは、3割バッターにはなれません。当たり前ですが。そうなった自分を強くイメージすることは大切ですが、やはり日々の積み重ねが3割バッターを生みます。
その日々の積み重ねを数値化して、それを行うことで、成長していくんだと思います。
訪問ノルマ、というのは販売ノルマのように、売上を強制されているわけではありません。無論、ただ訪問の数をこなして売上があがらないようでは評価もされないでしょうし、それはやり方に問題があるはずなので、営業担当者の方は自分自身で考えトライ&エラーを繰り返しているのだと思います。
数値化された日々の積み重ねを、ただ毎日こなしているだけでは、意味がないんでしょうね。毎回毎回、自分自身でよりよくするにはどうすれば良いかを考えながら、積み重ねていく。「素振り」も一回一回、本番をイメージしてどうすればもっと打てるかを考えながら繰り返したほうが、成長は早いと思います。
いかにやるか、やり続けるか。
冒頭の二神社長の言葉から、そのひとつのヒントを得たような気がします。