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DS文学全集 読書記録

DS文学全集

★=読了

収録本

  1. 羅生門 (芥川龍之介) ★
  2. 地獄変 (芥川龍之介)
  3. 奉教人の死 (芥川龍之介)
  4. 杜子春 (芥川龍之介)
  5. 藪の中 (芥川龍之介) ★
  6. トロッコ (芥川龍之介) ★
  7. 河童 (芥川龍之介)
  8. 或阿呆の一生 (芥川龍之介)
  9. カインの末裔 (有島武郎)
  10. 生まれいずる悩み (有島武郎)
  11. 或る女 (有島武郎)
  12. 外科室 (泉鏡花)
  13. 高野聖 (泉鏡花)
  14. 婦系図 (泉鏡花)
  15. 夜叉ヶ池 (泉鏡花)
  16. 野菊の墓 (伊藤左千夫)
  17. 蠅男 (海野十三)
  18. 東京要塞 (海野十三)
  19. 海底軍艦 (押川春浪)
  20. 老妓抄 (岡本かの子)
  21. 玉藻の前 (岡本綺堂)
  22. 金色夜叉 (尾崎紅葉)
  23. 夫婦善哉 (織田作之助)
  24. 死者の書 (折口信夫)
  25. 子をつれて (葛西善蔵)
  26. 檸檬 (梶井基次郎)
  27. 城のある町にて (梶井基次郎)
  28. 父帰る (菊池寛)
  29. 恩讐の彼方に (菊池寛)
  30. 藤十郎の恋 (菊池寛)
  31. 俊寛 (菊池寛)
  32. 「いき」の構造 (九鬼周造)
  33. 牛若と弁慶 (楠山正雄) ★
  34. 武蔵野 (国木田独歩)
  35. 牛肉と馬鈴薯 (国木田独歩)
  36. 出家とその弟子 (倉田百三)
  37. 耳無芳一の話 (小泉八雲) ★
  38. 五重塔 (幸田露伴)
  39. 無惨 (黒岩涙香)
  40. 蟹工船 (小林多喜二)
  41. 堕落論 (坂口安吾)
  42. 桜の森の満開の下 (坂口安吾)
  43. 夜明け前 (島崎藤村)
  44. 次郎物語 (下村湖人)
  45. 古事記物語 (鈴木三重吉)
  46. 瀧口入道 (高山樗牛)
  47. 日本三文オペラ (武田麟太郎)
  48. 富嶽百景 (太宰治)
  49. 走れメロス (太宰治) ★
  50. 斜陽 (太宰治)
  51. 人間失格 (太宰治)
  52. オリンポスの果実 (田中英光)
  53. 蒲団 (田山花袋)
  54. 黒髪 (近松秋江)
  55. 狂乱 (近松秋江)
  56. あらくれ (徳田秋声)
  57. 縮図 (徳田秋声)
  58. 不如帰 (徳富蘆花)
  59. 山月記 (中島敦)
  60. 李陵 (中島敦)
  61. 土 (長塚節)
  62. 吾輩は猫である (夏目漱石)
  63. 坊っちゃん (夏目漱石)
  64. 草枕 (夏目漱石)
  65. 三四郎 (夏目漱石)
  66. 門 (夏目漱石)
  67. 彼岸過迄 (夏目漱石)
  68. 行人 (夏目漱石)
  69. こころ (夏目漱石)
  70. 明暗 (夏目漱石)
  71. ごん狐 (新美南吉) ★
  72. 手袋を買いに (新美南吉) ★
  73. 花のき村と盗人たち (新美南吉)
  74. 新版 放浪記 (林芙美子)
  75. セメント樽の中の手紙 (葉山嘉樹)
  76. 夏の花 (原民喜)
  77. たけくらべ (樋口一葉)
  78. にごりえ (樋口一葉)
  79. 学問のすすめ (福沢諭吉)
  80. 浮雲 (二葉亭四迷)
  81. いのちの初夜 (北條民雄)
  82. 美しい村 (堀辰雄)
  83. 風立ちぬ (堀辰雄)
  84. 病牀六尺 (正岡子規)
  85. 注文の多い料理店 (宮沢賢治) ★
  86. オツベルと象 (宮沢賢治) ★
  87. よだかの星 (宮沢賢治) ★
  88. 風の又三郎 (宮沢賢治)
  89. 銀河鉄道の夜 (宮沢賢治)
  90. セロ弾きのゴーシュ (宮沢賢治)
  91. 伸子 (宮本百合子)
  92. ヰタ・セクスアリス (森鴎外)
  93. 雁 (森鴎外)
  94. 阿部一族 (森鴎外)
  95. 山椒大夫 (森鴎外)
  96. 最後の一句 (森鴎外)
  97. 高瀬舟 (森鴎外)
  98. 少女地獄 (夢野久作) ★
  99. 蠅 (横光利一)
  100. 機械 (横光利一)

ダウンロード追加本

  1. 縁側 (北村薫) ★
  2. 半七捕物帳 一 (岡本綺堂)
    1. お文の魂
    2. 石灯籠
    3. 勘平の死
    4. 湯屋の二階
    5. お化け師匠
    6. 半鐘の怪
  3. 赤外線男 海野十三
  4. デンマルク国の話 (内村鑑三)
  5. 夢十夜 (夏目漱石)
  6. 蜘蛛の糸 (芥川龍之介)

DS文学全集のちょっと嬉しい仕掛け

DS文学全集

DS文学全集にはまっている今日この頃。電車通勤中に少しずつ読んで、昨日、10冊目を読了。

すると、「スタッフ紹介」なる「本」がボーナスで追加される。ちょっと嬉しい。

早速、読んでみる。うむ、スタッフ紹介だ。なるほど。

そして、「スタッフ紹介」を「読了」すると、今度は「読書中のBGM」に、「名曲クラシック」がボーナスとして追加される。これまた、嬉しい。

DSの他のソフトでもこういう仕掛けはあるけど、DS文学全集にもあるとは全く知らなかった。もしかしたらマニュアルに書いてあるのかな。読んでないし、今後も読まないので知らないけど(←読め)。知らなかったので、なお嬉しい。

さて、次は何を読むか。次のボーナスは20冊目読了のときなのかな。それも楽しみだったり。

電車通勤読書に最適 – 「DS文学全集」

DS文学全集

電車通勤中に読書に最適。タッチペンなしでもサクサクの操作感。DSの画面は大きくはないので、多少目は疲れるが、それは仕方ない。

学校での教科書以外、あまり古典文学というものに触れたことがなかったので、個人的には新鮮さを感じつつ楽しんで読んでる。「検索」→「分量=あっさり」でヒットする作品等は、それこそあっという間に読める。ものによっては、片道通勤中に二冊読了できたり。何となくこれまで「いつか読もう」と思っていた作品を、これだけサクッと読めるのが楽しい。

「分量=あっさり」作品をいくつか読んで、本ソフトの操作性に慣れてきたところで、今はそこそこ長い「少女地獄」を読んでいるところ。これは面白い。このソフトを買わなければ、多分出会うことのなかった作品なんだろうなと思う。その存在は知っていても、多分読まないんだろうなと。そういう巡り合わせも楽しめるかも。僕は楽しんでます。

WiFi経由で作品を追加ダウンロードできるのもいい。

文学作品に加えて、「著名作家の書き下ろし小説」なるものもダウンロードできるみたい。お得。

See also

スゴ本さんのところで、DS文学全集のラインアップがテキスト掲載されていた(DS文学全集公式サイトでは画像で紹介されている)ので、いただいちゃいました。Thanks!

DS文学全集ラインアップ*1
  1. 羅生門 (芥川龍之介)
  2. 地獄変 (芥川龍之介)
  3. 奉教人の死 (芥川龍之介)
  4. 杜子春 (芥川龍之介)
  5. 藪の中 (芥川龍之介)
  6. トロッコ (芥川龍之介)
  7. 河童 (芥川龍之介)
  8. 或阿呆の一生 (芥川龍之介)
  9. カインの末裔 (有島武郎)
  10. 生まれいずる悩み (有島武郎)
  11. 或る女 (有島武郎)
  12. 外科室 (泉鏡花)
  13. 高野聖 (泉鏡花)
  14. 婦系図 (泉鏡花)
  15. 夜叉ヶ池 (泉鏡花)
  16. 野菊の墓 (伊藤左千夫)
  17. 蠅男 (海野十三)
  18. 東京要塞 (海野十三)
  19. 海底軍艦 (押川春浪)
  20. 老妓抄 (岡本かの子)
  21. 玉藻の前 (岡本綺堂)
  22. 金色夜叉 (尾崎紅葉)
  23. 夫婦善哉 (織田作之助)
  24. 死者の書 (折口信夫)
  25. 子をつれて (葛西善蔵)
  26. 檸檬 (梶井基次郎)
  27. 城のある町にて (梶井基次郎)
  28. 父帰る (菊池寛)
  29. 恩讐の彼方に (菊池寛)
  30. 藤十郎の恋 (菊池寛)
  31. 俊寛 (菊池寛)
  32. 「いき」の構造 (九鬼周造)
  33. 牛若と弁慶 (楠山正雄)
  34. 武蔵野 (国木田独歩)
  35. 牛肉と馬鈴薯 (国木田独歩)
  36. 出家とその弟子 (倉田百三)
  37. 耳無芳一の話 (小泉八雲)
  38. 五重塔 (幸田露伴)
  39. 無惨 (黒岩涙香)
  40. 蟹工船 (小林多喜二)
  41. 堕落論 (坂口安吾)
  42. 桜の森の満開の下 (坂口安吾)
  43. 夜明け前 (島崎藤村)
  44. 次郎物語 (下村湖人)
  45. 古事記物語 (鈴木三重吉)
  46. 瀧口入道 (高山樗牛)
  47. 日本三文オペラ (武田麟太郎)
  48. 富嶽百景 (太宰治)
  49. 走れメロス (太宰治)
  50. 斜陽 (太宰治)
  51. 人間失格 (太宰治)
  52. オリンポスの果実 (田中英光)
  53. 蒲団 (田山花袋)
  54. 黒髪 (近松秋江)
  55. 狂乱 (近松秋江)
  56. あらくれ (徳田秋声)
  57. 縮図 (徳田秋声)
  58. 不如帰 (徳富蘆花)
  59. 山月記 (中島敦)
  60. 李陵 (中島敦)
  61. 土 (長塚節)
  62. 吾輩は猫である (夏目漱石)
  63. 坊っちゃん (夏目漱石)
  64. 草枕 (夏目漱石)
  65. 三四郎 (夏目漱石)
  66. 門 (夏目漱石)
  67. 彼岸過迄 (夏目漱石)
  68. 行人 (夏目漱石)
  69. こころ (夏目漱石)
  70. 明暗 (夏目漱石)
  71. ごん狐 (新美南吉)
  72. 手袋を買いに (新美南吉)
  73. 花のき村と盗人たち (新美南吉)
  74. 新版 放浪記 (林芙美子)
  75. セメント樽の中の手紙 (葉山嘉樹)
  76. 夏の花 (原民喜)
  77. たけくらべ (樋口一葉)
  78. にごりえ (樋口一葉)
  79. 学問のすすめ (福沢諭吉)
  80. 浮雲 (二葉亭四迷)
  81. いのちの初夜 (北條民雄)
  82. 美しい村 (堀辰雄)
  83. 風立ちぬ (堀辰雄)
  84. 病牀六尺 (正岡子規)
  85. 注文の多い料理店 (宮沢賢治)
  86. オツベルと象 (宮沢賢治)
  87. よだかの星 (宮沢賢治)
  88. 風の又三郎 (宮沢賢治)
  89. 銀河鉄道の夜 (宮沢賢治)
  90. セロ弾きのゴーシュ (宮沢賢治)
  91. 伸子 (宮本百合子)
  92. ヰタ・セクスアリス (森鴎外)
  93. 雁 (森鴎外)
  94. 阿部一族 (森鴎外)
  95. 山椒大夫 (森鴎外)
  96. 最後の一句 (森鴎外)
  97. 高瀬舟 (森鴎外)
  98. 少女地獄 (夢野久作)
  99. 蠅 (横光利一)
  100. 機械 (横光利一)

トリツカレ男

トリツカレ男 (新潮文庫)

先週、39度近い熱を出してしまった。幸い、一晩で熱は下がったが、せきはまだ続いている。今年の風邪はしつこいようだ。

本書を、そんな高熱の夜に、読んだ。それこそ、トリツカレるように一気読み。高熱のためか、本書のファンタジーがとても心地いい。そして、さわやかな読書感を味わう。なかなか、いい読書だった。

いしいしんじの世界観は、切なくも楽しい。そして懐が深い。大人でも子どもでも、楽しむことができる。160ページの本書には、その世界観が凝縮されている。お勧め。

ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する

ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学 (幻冬舎新書)

サイドビジネスを100%成功させている島田紳助による、サイドビジネス指南書。「サイドビジネス」と言っているが、本書で語られている指南全てが通常のビジネス、本業のビジネス、仕事をしていくうえでも、役に立つ内容ばかり。シンプルな語り口で一気に読ませつつ、核心を突いた指南がしっくりと心に残る。

本書はサイドビジネス(主に飲食業)指南書でありながら、島田紳助の人生哲学書でもある。何気なく島田紳助の頭を覗きつつ発想のヒントを探る気持ちで読み始めた本書であったが、意外にも背筋が伸びる読書となった。特に、終盤に差し掛かった辺りから、グサグサと心に残る言葉が続く。

例えば、こんな言葉。

歳を取るということは、荷物を背負うということだ。

喜びというのはもしかしたら、自分の背負った重さと関係があるのかもしれない。

手ぶらで歩いた方が楽しいように、人生の喜びは背負う荷物が少ないほど大きいもののようだ。背負うものが増えただけ、喜びが感じられなくなっていることに気づく。

昔は良かったなあと、つくづく思うことが多くなった。

お金もなければ、人脈も、名前も、知識もない。ポケットの中は空なのに、頭だけは夢でいっぱいだった、あの頃の自分が羨ましくてたまらない。(P.154)

このあとに、島田紳助が本業で成功しているのにも関わらずビジネスをしている本当の理由に気づくのだが、それがまた熱い。淡々と語られてはいるが、その熱さがじんじんと伝わってくるこの辺りのくだりからラストまでが、個人的には特に響いた。

ビジネスをしていくうえでの核心をついたヒントが満載なうえ、「生きる」ということに対する姿勢も考えさせられる本書。それでいてページ数は164ページでしかない。これだけの内容を、たったこれだけのページ数でまとめるところが、さすがとしか言いようがない。二時間もあれば通読して、メモを取り、その内容をじっくりと咀嚼することができる。実に充実した二時間を過ごした。

この国の教育のあり方

この国の教育のあり方

日本の教育」の今、そしてこれからを、様々なジャンルで活躍する15人が語るインタビュー集。それぞれのインタビューは結構短くまとめられていて、その方々の主張をざっくりと知ることができる。ざっくりとではあるが、それを問題提起として、考えるべきことは多い。

本書は、一度通読しただけでは、得るものが少ないように思う。かくいう僕もまだ一読したのみなので、「日本の教育」に対する何かモヤモヤとした考えが残っているだけだ。そのモヤモヤを持ちつつ、15人に自分がインタビューするつもりで、何度か読んでみると、もっと何かを得られるのでは、と思う。

とはいえ、一読してそのモヤモヤを感じるだけでも、十分に読む価値のある本であることは確か。教育に関わる全ての人が一読して、15人の問題提起を受け止めるべきだと思う。子供の教育は、家庭での教育が基本、そして学校、地域が協力していくもの、という考えでいくと、全ての大人が教育に関わっている、ということになる。つまり、本書は全ての大人が読んでおくべき本である、ということが言えるのかもしれない。

2日で人生が変わる「箱」の法則

2日で人生が変わる「箱」の法則

本書を通勤帰りの電車の中で読了した。「人生が変わる」と冠しているのは伊達でも誇張でもない。 本書の内容は、言ってしまえば、実践しなくても人生が変わる。というよりも、本書を読んで「箱」の法則を知ってしまうと、そこから大げさではなく、人生は否応なく変わっていく。人生が変わるときというのは、誰かが変えてくれるわけではなく、自分自身の物事の捉え方や世の中に対する見方が変わったとき。本書は、その捉え方、見方、考え方を劇的に変えてくれる。それは、ポジティブな考え方とか、そんな生ぬるいものではなく、本質を突いている。それがゆえに、変わるときに痛みを伴う。自分を知る、という痛みを。

(以下、本質のキモである「箱」について突っ込んで書く。つまり若干ネタバレを含むので、そのつもりで。)

本書を電車で読了して、自宅に帰るまでの間に、自分が「箱」に入る瞬間を何度か体験した。電車を降りようと思ったときになかなかどいてくれない人に対して「邪魔だ」と思ったとき。歩きたばこをしている人の煙を吸って「家まで我慢出来ないのか」と思ったとき。その瞬間、僕はその人達を「人」ではなく、「物」と見ていた。つまり、「箱」に入った。そして、「箱」に入った瞬間に、そんな自分を自覚し「箱」から出た。なんてことだ。いつでもどこでも、僕たちは「箱」に入ってしまい、そして、いつでも「箱」から出ることが出来るのだ。

前作「自分の小さな「箱」から脱出する方法」(参照)と同様、本書も読んでその内容を理解していくにつれ、憂鬱になっていく。そこに自分のことが書かれているからだ。ただ、その自分は変えることができる、ということも同時に知ることができる。

もっと多くの人が「箱」について知ることが出来れば、もっと世の中は平和になる。それが絵空事に聞こえないほど「箱の法則」は強力だ。何も言わずに、多くの人に本書を読んでほしいと心から思う。できれば、前作→本書という順番で。そのほうがより、「箱」に対する理解が深まるとともに、物語そのものも楽しむことができると個人的には思う。

夜の来訪者

夜の来訪者 (岩波文庫)

切れ味鋭い戯曲。読むのが速い人なら、1時間もあれば読めてしまう内容。それもいいかもしれないが、実際に劇を楽しむつもりで、じっくりと頭のなかで音読しながら読むのも乙。僕はそうやって2時間ほどかけて、じっくりと読んだ。

頭のなかで舞台を作り、そこで自分の想像上の役者達が芝居を繰り広げている。そんなイメージで本書を読み進めた。読んだ、というよりも、本戯曲を「観た」といってもいいかもしれない。そして、「警部」が他の登場人物全員を突き刺す言葉を残して退場していくくだりからラストにいたるまでの心の闇を描いたクライマックスでは、トイレに行くことさえ出来ない。

ラスト。2時間かけて本戯曲を本物の劇さながらに観てきた観客である僕を思いっきり置き去りにする。しばらく席を立つこと(=本を閉じること)が出来ない。心の闇、社会の闇、そんなものを観せつけられたまま、あとは自分で考えることを余儀なくされる。油断していた。半端な気持ちで観ることはできない戯曲だったのだ。

気持ちが落ち着いたら、もう一度本戯曲を観てみることにする。今度は、序盤に散りばめられている伏線なども大いに楽しみつつ。

食卓からの経済学

食卓からの経済学―ビジネスのヒントは「食欲」にあり (祥伝社黄金文庫)

食卓、というより食に関するビジネストリビアが満載。

赤坂プリンスホテルの「まずいコーヒー」の話等々、すべてのトリビアに頷きながら一気に読んだ。先を読みたくて仕方がなくなる。それらのトリビアが生まれるもととなった発想や目の付けどころが、またすごい。「食卓からの経済学」という題名は伊達ではない。ただのトリビア集ではなく、まさに経済学の教科書であり、発想の視界を大いに広げてくれる本。

ぐっときたエピソードをいくつか紹介しようとページを振り返っていたのだが、「いくつか」というより、「全ての」エピソードが興味深く、気づくとじっくり再読し始めてしまい、ブログ執筆が進まないので、ここでは紹介するのはやめておく。ぜひ読んでみることをお勧めする。読み出すと止まらなくなるのは、覚悟の上でどうぞ。

奇跡をくれた犬たち

奇跡をくれた犬たち―信じる心が犬たちを変える

犬達は、我々人間を癒してくれる。一緒に暮らしていると、癒されっぱなしだ。だけど、人間が癒されたいように、犬だって癒されたいのだ。一緒に暮らしている僕達の存在は、うちの子の心を癒しているんだろうか。そうだとしたら、これほど嬉しいことはない。

お互いに、癒し、癒される存在。そういう生活の中から、多くの奇跡が生まれる。本書には、そんな奇跡が数多く紹介されている。それらの奇跡のなかには、ある人間が起こした悲劇を奇跡に変えたものもある。人間が起こす悲劇は、読むに堪えない。同じ種として、犬達に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

人間が起こした悲劇の犠牲になる全ての犬を、救うことは出来ない。こんなことを言ってしまう僕を含めて、人間とは何て勝手な生き物なんだろうと思う。それを受け止めつつ、僕達は今この手で出来ることをするしかないし、それから何かが変わることもあるはず。

そんなことを、考えた。