サイドビジネスを100%成功させている島田紳助による、サイドビジネス指南書。「サイドビジネス」と言っているが、本書で語られている指南全てが通常のビジネス、本業のビジネス、仕事をしていくうえでも、役に立つ内容ばかり。シンプルな語り口で一気に読ませつつ、核心を突いた指南がしっくりと心に残る。
本書はサイドビジネス(主に飲食業)指南書でありながら、島田紳助の人生哲学書でもある。何気なく島田紳助の頭を覗きつつ発想のヒントを探る気持ちで読み始めた本書であったが、意外にも背筋が伸びる読書となった。特に、終盤に差し掛かった辺りから、グサグサと心に残る言葉が続く。
例えば、こんな言葉。
歳を取るということは、荷物を背負うということだ。
喜びというのはもしかしたら、自分の背負った重さと関係があるのかもしれない。
手ぶらで歩いた方が楽しいように、人生の喜びは背負う荷物が少ないほど大きいもののようだ。背負うものが増えただけ、喜びが感じられなくなっていることに気づく。
昔は良かったなあと、つくづく思うことが多くなった。
お金もなければ、人脈も、名前も、知識もない。ポケットの中は空なのに、頭だけは夢でいっぱいだった、あの頃の自分が羨ましくてたまらない。(P.154)
このあとに、島田紳助が本業で成功しているのにも関わらずビジネスをしている本当の理由に気づくのだが、それがまた熱い。淡々と語られてはいるが、その熱さがじんじんと伝わってくるこの辺りのくだりからラストまでが、個人的には特に響いた。
ビジネスをしていくうえでの核心をついたヒントが満載なうえ、「生きる」ということに対する姿勢も考えさせられる本書。それでいてページ数は164ページでしかない。これだけの内容を、たったこれだけのページ数でまとめるところが、さすがとしか言いようがない。二時間もあれば通読して、メモを取り、その内容をじっくりと咀嚼することができる。実に充実した二時間を過ごした。