Category Archives: Book

踊るベテラン – 『ラストダンス』

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先日読んだランナー小説「チーム」「ヒート」の著者、堂場瞬一による野球小説「ラストダンス」を先日読了した。

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スポーツ物の小説はあまり読んでこなかったけど、「チーム」「ヒート」が面白かったので、この「ラストダンス」も期待して読んだ。

詳しい内容は↑のAmazonのページを見てもらうとして、「チーム」「ヒート」でのレース中の描写と同様に、今作でも試合中の選手の心の動きや描写、展開が読み応えがある。野球好きはもちろん、野球を少しでもやったことがあったり観たことがあるなら、楽しめると思う。

個人的には主人公のベテラン二人と年齢が近い、ということもあって、そういう部分でも感情移入してしまった。

堂場瞬一のスポーツ小説は、他にも気になるのがたくさんある。次はどれを読もうかな。「BOSS」、かなあ。

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» BOSS (Amazon)

世界最高記録への疾走 – 『ヒート』

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SIGMA dp2 Quattro, F2.8, 1/640s, ISO:100

先日、こちらのエントリーで「読み始めた」と書いていた、「ヒート」を読み終えた。

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最近は、何冊かの本を並行して読んでいるので、通勤や、寝る前に少しずつ、って具合で、結構ゆっくりなペースで読んだ。

物語の時間軸としては「チーム」の”その先の”物語で、「チーム」の登場人物が主役や重要な脇役として出てくるので、先に「チーム」を読んでおくべき。

日本男子マラソンの長期低迷傾向に歯止めをかけるため新設された「東海道マラソン」。神奈川県知事の号令のもと、県庁職員の音無太志は、日本陸上界の至宝・山城悟のペースメーカーとして、孤独なランナー・甲本剛に白羽の矢を立てる。甲本はかつてハーフマラソンの日本記録を持っていた「30キロまでの男」。所属していた実業団が解散し、母校のグラウンドを借りて練習する身だ。ペースメーカーになることを渋る甲本に、音無は破格の条件を提示するが――。果たして世界最高記録達成はなるのか。数多の人間の欲望と情熱を乗せたレースは、まさかの展開に――。箱根駅伝を走る学連選抜チームの激走を描いたベストセラー『チーム』の“その先”の物語。疾走感あふれるレース描写と、男たちの人間ドラマに一気読み必至。

前半の世界最高記録を出すためのレースを作り上げていく展開、後半のレース展開、と大きく分けて二部構成のような内容で楽しめる。個人的には、どちらも楽しめた。特に後半のレースは読み応えがある。

そういった物語の展開を楽しめたのはもちろんだけど、各登場人物の走ることに対する姿勢や思いが、走ることが好きな人間としては、読んでてぐっときたのだった。

そして、「チーム」「ヒート」と読んで、またやっぱり「風が強く吹いている」が読みたくなってきてしまった。読み始めるかな。

See also

» それでも、襷はつながっていく – 『チーム』
https://heydays.org/2015/03/team.html
» 走るの好きか? – 『風が強く吹いている』
https://heydays.org/2011/02/strong-wind.html

Amazon Links

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それでも、襷はつながっていく – 『チーム』

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Olympus OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, F2.8, 1/80s, ISO:800, Art Filter: Rough Monochrome

来月、久しぶりに(三年ぶりかな)フルマラソンを走るというのに、最近まで長距離をあまり走れていなかった。

フットサルは週一、二のペースでやっているし、ほぼ毎日犬の散歩で一時間程度(Vibram Five Fingersを履いて)歩いているし、体幹トレーニングもほぼ毎日やっているので、体力はあるにはある(と思う)。が、長距離を走れてないので、フルマラソンを制限時間内に完走できるかどうか、少し不安がある。時間制限がなければ、完走できるとは思うのだけど。

そんなわけで、長距離を走るトレーニングを少しずつ始めているのだけど、身体的に作り込んでいくのと同時に、気持ち的にも長距離を走ることに対するモチベーションを上げようってことで、ランナー関連の小説を読むことにした。

ランナー関連の小説で好きなのは『風が強く吹いている』(参照)で、これまでに何度か再読しているので、今回もまた読んでみようかなと思ったのだけど、違う小説も読んでみたいなということで、ちょっと調べてみて『風が強く吹いている』と同様に箱根駅伝が舞台の『チーム』を読んだ。

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箱根駅伝が舞台、とはいっても、この小説の主役「チーム」は、”箱根駅伝の出場を逃した大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」“、というところが『風が強く吹いている』とは違うところ。

箱根駅伝の出場を逃した大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」。究極のチームスポーツといわれる駅伝で、いわば“敗者の寄せ集め”の選抜メンバーは、何のために襷をつなぐのか。東京~箱根間往復217.9kmの勝負の行方は――選手たちの葛藤と激走を描ききったスポーツ小説の金字塔。

箱根駅伝が舞台なので、何となくどの辺りの場面や設定で盛り上がるか、というのは『風が強く吹いている』を何度も読んでいたこともあって、大体想像がついてしまうのだけど、それでも「関東学連選抜」チームがいかに襷をつないでいくのか、主要な登場人物の走る前と走っている間の心の動き・描写等、個人的にはのめり込める展開・内容で、一気に読めた。

そして、長距離を走ることに対するモチベーションはぐっと上がった。その勢いで、この『チーム』の”その先の”の物語である『ヒート』も読み始めてしまった。

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本を読んでばかりいないで、外に出て走れ俺、って話なんだけど、まあ、こういう熱いスポーツ物を読むのは好きなので、止まらないのは仕方ない。少しずつ距離も伸ばして走れているので、大丈夫だ、きっと。

オリエント急行殺人事件(脚本: 三谷幸喜)を観た

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Fujifilm FinePix F10, taken on December 2007

先日のイスラエル出張中に2夜連続で放映していた、三谷幸喜脚本による「オリエント急行殺人事件」の第1夜、第2夜を一気に観た。それぞれ3時間弱という放映時間なので、二日に分けて観ようと思ったのだけど、第1夜を観たら、やっぱり第2夜も観たくなってしまい、夜中までかけて第2夜も全部観てしまった。

» オリエント急行殺人事件 – フジテレビ
http://www.fujitv.co.jp/orientexpress/

面白かった。豪華キャストの共演も見所満載。

ただ、面白かった、のだけど、原作でいうと名探偵ポアロの役である名探偵勝呂武尊(野村萬斎)のあの話し方が気になりすぎて、あまり話に集中できなかった。特に勝呂武尊が乗客に聞き込みしたり推理を展開したりする第1夜。ほんと、どうしてあの話し方で良しとしたかね。

何はともあれ、久々に原作を読みたくなったので、↓のKindle板を購入したのだった。

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» オリエント急行の殺人 ハヤカワ文庫―クリスティー文庫 (Amazon)

ドラマ「半沢直樹」の原作本を読了した – 『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』 & 『ロスジェネの逆襲』

半沢直樹

今年の夏に放映された人気ドラマ「半沢直樹」、うちでも楽しんだわけだけど、原作本(池井戸潤 著)もやっぱり気になったので、読んでみた。

「半沢直樹」が主役の原作本は、最新作の『ロスジェネの逆襲』と合わせてこれまでに三作あり、そのうち最初の二作『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』が、ドラマ「半沢直樹」の原作となっている。

TVドラマは、原作の内容そのままとはなっていなくて、かつ(ストーリーをより盛り上げるためだとは思うけど)よりドラマチックになるように演出・脚色されているなあ、と。まあ、小説や漫画がドラマ化・映画化されるときというのは、多かれ少なかれ、アレンジ・脚色がされるものなので。

原作を先に読むか、ドラマ/映画を先に観るか、というところも悩ましかったりするものだけ、今回の「半沢直樹」は先にドラマを観た。というか、単純にドラマ「半沢直樹」の原作が『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』である、ということを知らなかった、という話なわけで。

個人的には原作を先に読みたい、と思うほうなんだけど、この「半沢直樹」については、TVドラマを先に観ておいて良かったかな、と。先に原作を読んでしまっていたら、TVドラマのあのシリアスな感じの演出とかがあまり楽しめなかったかも。んん、でもどうかな、原作読んでいたらいたで、楽しめたのかな。どうだろ。

そして、ドラマ「半沢直樹」の続編である『ロスジェネの逆襲』も多分そのうちTVドラマまたは映画化されるんだろうなあ、それ観てから読むかなあ、なんてことをちらっと考えもしたのだけど、前二作が原作も思いのほか面白くて普通に続きを読みたくなったので、Kindleでさくっと買って読み始めて、そのままほぼ一気読みしてしまったのだった。

ロスジェネの逆襲』、個人的には前二作よりも好きかな。TVドラマまたは映画化されても、やっぱり面白いものになるのでは、ということで、映像化にも期待。

See also

オレたちバブル入行組 (文春文庫)
» オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたち花のバブル組 (文春文庫)
» オレたち花のバブル組 (文春文庫)

ロスジェネの逆襲
» ロスジェネの逆襲

重くて怖いノンフィクション – 『凶悪』

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これがノンフィクションとは…、と、そういう陳腐な感想しか出てこない、というか言えない。

途中でノンフィクションであることを疑ってしまうくらい残酷な描写があったりもして、何とも重い読書になりながら、一気読みしてしまった。

一気読みしてしまうような内容だけど、正直あまり積極的にはお薦めできない。重いし、怖い。そんなノンフィクション。

Amazon Link

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)

内容紹介
人を殺し、その死を巧みに金に換える“先生”と呼ばれる男がいる──雑誌記者が聞いた驚愕の証言。だが、告発者は元ヤクザで、しかも拘置所に収監中の殺人犯だった。信じていいのか? 記者は逡巡しながらも、現場を徹底的に歩き、関係者を訪ね、そして確信する。告発は本物だ! やがて、元ヤクザと記者の追及は警察を動かし、真の“凶悪”を追い詰めてゆく。白熱の犯罪ドキュメント。
Amazon.co.jp: 凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫): 「新潮45」編集部: 本

「ドクター伊良部」シリーズ (by 奥田 英朗) 三冊のKindle版をまとめて大人買い

2013-03-25 23.12.50

といっても、一冊368円なので、三冊合計で1,014円なわけだけど。

奥田英朗の「ドクター伊良部」シリーズ、『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』『町長選挙』は僕と奥さんのお気に入りの作品で、二人ともたまに読み返しては癒されているわけで文庫版も三冊とも持っている。

で、そんな「ドクター伊良部」シリーズをKindle Paperwhiteにも入れておきたいなあ、とふと思い立ってチェックしてみたらKindle版が出ていたので、三冊全部買ったった。こういうのを大人買い、と言う(多分)。といっても、合計で1,104円という、何だか安い大人買いな気がしないでもないけども。

この「ドクター伊良部」シリーズ、どれも面白いのだけど個人的には最初の『イン・ザ・プール』がお気に入り、かなあ。あえて言うなら、だけど。

ただ、このシリーズは短編集になっているので、Kindleに入れて、いつでも好きなエピソードを読める、というのはなかなかどうして、楽しい。電車で移動中とかのちょっとした隙間時間で伊良部に癒されたいときには最適ですな。

そういえば、『イン・ザ・プール』は映画版もあって、以前観てみたのだけど、映画の伊良部のキャラが原作読んだときにイメージしていたキャラと大分離れているような気がして、個人的には「んん…」という感じだった。んん。

イン・ザ・プール [DVD]
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「ドクター伊良部」シリーズ、Kindle版

イン・ザ・プール: 1 (ドクター伊良部)
» イン・ザ・プール: 1 (ドクター伊良部)

空中ブランコ: 2 (ドクター伊良部)
» 空中ブランコ: 2 (ドクター伊良部)

町長選挙: 3 (ドクター伊良部)
» 町長選挙: 3 (ドクター伊良部)

See also

» 最強の癒しキャラ登場 – 「イン・ザ・プール」 | hey hey heydays*
» 無敵精神科医 – 「町長選挙」 | hey hey heydays*

Kindle Paperwhiteがやってきた

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2013年、最初に購入したガジェットは『Kindle Paperwhite』。

昨年の発売当初から欲しい欲しいと思っていたのだけど、何となくタイミングを逃したのいうのもあり、当面iOSやAndroidのKindleアプリでいいかな、という状況だった。が、来週急遽アメリカへの出張が決まったので、長時間フライト中の読書にはタブレットとかよりも、E-InkのKindleがいいだろうということで、購入することに。

で、普通にamazon.co.jpから購入しようとしたところ、今日1/6時点で「通常2~3週間以内に発送します。」という在庫状況で来週の出張には間に合いそうになかったので、近所の家電量販店の在庫を調べてみることに。比較的近くのケーズデンキに電話してみると、普通に在庫があるということなので、さささっと向かってちゃちゃっと購入。

買ったのは「3G」ではないほう。kindleから直接3G接続する必要性を感じなかったというのと、外出先でKindle Storeから本を買いたいと思うことがどれだけあるかしら、というのと、もしあったとしてもテザリングするという手もあるしな、というわけで。

早速WiFiの設定をして、購入していた「64」を読んでいるのだけど、思っていた以上の快適な読書となっていて嬉しい限り。スマートフォンやタブレットだと、どうしてもこう光を目に思いっきり浴びながら凝視している、という感じになって、目が疲れてくるのだけど、E-Inkは読んでいる目の感覚は、紙の読書のそれとほとんど変わらないかな、と個人的には。あとページ送りやその他の使い勝手も特に不満なし。

そして、軽い。これ、すごく大事。

あと、これは『Kindle Paperwhite』に限らずiOSやAndroidのKindleアプリでも同様のことだけど、電子書籍ならではのフォントサイズを変更できたり、複数デバイス間で読書の進捗を共有できるというのも、ならではの読書体験。リビングや寝室、移動中、外出先では『Kindle Paperwhite』、風呂では現在「ケータイ会議10(延長戦)」でモニター/レビュー中の防水タブレット『ARROWS Tab F-05E』で読書する、というスタイルに今後はなっていきそう。

というわけで、『Kindle Paperwhite』が今年最初に購入したガジェットとなったわけだけど、かなりヘビーユースしていくことになりそうです。いいことです。

Kindle Paperwhite
» Kindle Paperwhite

See also

いまKindleで読んでいる本はこちら。読み応えあります。

64(ロクヨン)
» 64(ロクヨン)

深く深く考えながら読む。自分ならどうするか、と。 – 『ぼくのメジャースプーン』

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何かゆっくりと入り込める本は小説はないかな、と書店をぶらぶらしているときに、そのタイトルが印象的で即買いした本書。

» ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)

たしかに入り込みたいと思って買ったわけだし、実際入り込んだわけだけど、これだけ深く、深く考えさせながらの読書になるとは思ってなかった。特に中盤以降は、「ぼく」と「先生」のやり取りを読みながら、「自分ならどうするか」と考え続けながら読んだ。

本書のあらすじは、以下のAmazonページからの引用を参考にしてもらうとして。

「ぼく」は小学四年生。不思議な力を持っている。忌まわしいあの事件が起きたのは、今から三ヵ月前。「ぼく」の小学校で飼っていたうさぎが、何者かによって殺された……。大好きだったうさぎたちの無残な死体を目撃してしまった「ぼく」の幼なじみ・ふみちゃんは、ショックのあまりに全ての感情を封じ込めたまま、今もなお登校拒否を続けている。笑わないあの子を助け出したい「ぼく」は、自分と同じ力を持つ「先生」のもとへと通い、うさぎ殺しの犯人に与える罰の重さを計り始める。「ぼく」が最後に選んだ答え、そして正義の行方とは!?

Amazon.co.jp: ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス): 辻村 深月: 本

『「ぼく」が最後に選んだ答え』。これが本書のキモとなるのだけど、そこにたどり着くまでの「ぼく」の思考の過程、「先生」や「ふみちゃん」と「ぼく」の関係、「ぼく」の「ふみちゃん」に対する想い、等々が読み応えあって、かつ「自分ならどういう答えを出すか」ということを考えざるを得ないテーマで、じっくり考えながら読んだので、読了するのにえらい時間がかかってしまった。

で、「自分ならどういう答えを出すか」というと、個人的には「先生」の考え方に近い、ような気がする。

今のところ、僕の2012年小説ランキング1位となった本書。じっくりと自分の考えとか思考とかと向き合いながら読書したいという人には、お勧め。「読書の秋」には最適、かもです。

ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)
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おばあちゃんの言葉が染み入る – 『西の魔女が死んだ』

田口さんのこちらのエントリーで紹介されていた『西の魔女が死んだ』を、雨の日曜の朝に一気読みした。

おばあちゃん(西の魔女)の言葉が、とにかくあったかくて、ほっこりしながら読みました。個人的には静かな感動といった感じの読後感。

物語として楽しむ、というよりも、おばあちゃんと主人公のまいの会話や、まいの心の動き、おばあちゃんの言葉、とかそういったものを噛み締めながら静かに楽しむ、という感じの読書で、なんというか穏やかな気持ちになります。

そして、ところどころで、本当にぐっとくる、染み入る言葉が出てきて、そういう言葉を書き留めつつ。

ゆっくり読んでも大体2時間くらいで読めると思うので、静かに映画を楽しむつもりで読んでみるといいかもです。

西の魔女が死んだ (新潮文庫)
» 西の魔女が死んだ (新潮文庫)