図解 フィンランド・メソッド入門 by 北川達夫

図解 フィンランド・メソッド入門
北川 達夫 フィンランドメソッド普及会
経済界 (2005/10)

「ミクシ?(どうして?)」
 フィンランドの小学校で、いちばんよく聞く言葉がこれです。生徒が発言すると、先生が即座に「ミクシ?(どうして?)」と聞くのです。(P.38)

世界各国の15歳の子どもを対象に実施している国際統一テストの読解力テストで二回連続一位のフィンランドの教育は、子どものグローバル・コミュニケーション力を養うのに非常に適したものとなっているようです。


グローバル・コミュニケーション力(=読解力)について、著者の北川さんは以下のように記述しています。

 それは、相手がどこのだれであろうと、自分の言いたいことを理解させる能力。そして、相手がどこのだれであろうと、その言うことを理解する能力です。いわば「グローバル・コミュニケーション力」と言ったところでしょうか。(P.18)

このグローバル・コミュニケーション力を高めるためにフィンランドでは、以下の「力」を小学生から養成しています。
【基礎】
 発想力 ・・・ 言いたいことは何か
 論理力 ・・・ 筋は通っているか
 表現力 ・・・ 相手に伝わる言い方か
【応用】
 批判的思考力 ・・・ 改善と見直し
 コミュニケーション力 ・・・ 以上4つの「力」を駆使してグローバル・コミュニケーション力を高める
冒頭で紹介した「ミクシ?」は二番目の「論理力」を高めるために使われているものです。フィンランドの小学校教育では自分の「意見」に「理由」を説明することを求められます。「この本面白かったです」と言うと、すかさず「ミクシ?(どうして?)」と聞かれます。その「ミクシ?」に答えることで「論理の回路」が作られていきます。そして、その論理力養成の練習法として【意見-理由の論理型】というものがあるそうです。
【意見-理由の論理型】
 (1) (意見)
 (2) なぜなら (理由1)
 (3) それに (理由2)
 (4) また (理由3)
このようにひとつの意見に対して三つの理由を考えることで、論理力が養われていきます。確かにこの方法ならいやでも論理力が高まりますね。僕達日本の大人でこのような論理の回路を持った人がどれだけいるでしょうか。日本では「言えば分かる」的な文化があるので、こういう論理力はなかなか養われないのでは、と思います。
フィンランドの教育では、このようにきちんとした【型】をもち、それを反復練習することで、それぞれの「力」を養成しています。読解力が高いフィンランドではこれらが小学生の頃から実践されています。日本の教育でも、算数や数学等に関しては、型と反復練習というのがなくはないと思いますが、読解力という点ではあまり意識されていないのではないかと思います。
ちなみに、基礎の基礎となる(そしてキモともなる)「発想力」の養成には、マインドマップが使われています(フィンランドでは「カルタ」と呼ぶそうです)。韓国の教育にもマインドマップが取り入られ始めているということをどこかで耳にしましたが、このままでは「発想力」で日本は遅れをとってしまいます。日本の教育にも、マインドマップを取り入れられることを切に願っています。
フィンランド・メソッドで鍛えられる5つの「力」、「発想力」「論理力」「表現力」「批判的思考力」「コミュニケーション力」、これらはそのままビジネスパーソンにとって不可欠な能力ですね。本著は、これらの能力を高めたいと思うビジネスパーソンにも役に立つのでは。
また、実際にフィンランドで使われている国語の教科書を翻訳したものも出版されているようです。

フィンランド国語教科書―フィンランド・メソッド 5つの基本が学べる
メルヴィ バレ リトバ コスキパー マルック トッリマン Mervi W¨are Ritva Koskip¨a¨a Markku T¨ollinen 北川 達夫 フィンランドメソッド普及会
経済界 (2005/11)
図解 フィンランド・メソッド入門
北川 達夫 フィンランドメソッド普及会
経済界 (2005/10)

5 thoughts on “図解 フィンランド・メソッド入門 by 北川達夫

  1. ぐんじ

    良いねえ~。動き出していますな、夢に向かって^^
    感心、感心。
    >韓国の教育にもマインドマップが取り入られ始めているということをどこかで耳にしましたが、このままでは「発想力」で日本は遅れをとってしまいます。
    マインドマップの本を書いているウィリアムリード氏が進めているみたいです(英語とお金の関係上巻の付属CDより)
    確かに。だからこそ我々が必要とされているのでは?

  2. heyday

    > マインドマップの本を書いているウィリアムリード氏が進めているみたいです(英語とお金の関係上巻の付属CDより)
    そうだそうだ。情報源はぐんさんだった^^。
    サンキューです。
    > 確かに。だからこそ我々が必要とされているのでは?
    ですね。
    マインドマップのように、それを知っているかいないかで、大きく能力に差が出る可能性のあるものは、どんどん発信していきたいと思っています。

  3. ぐんじ

    >マインドマップのように、それを知っているかいないかで、大きく能力に差が出る可能性のあるものは、どんどん発信していきたいと思っています。
    give, give, give, and give before you recieve.
    去年NYで買ってきた「Networking with millionaire 」というオーディオセミナーCDから。成功者達と強固なネットワークを作っている人達は、「まず与える」ということを習慣化しているそうです。
    有益だと思える情報って出せば出すほど、最後には自分に跳ね返ってくるんですよね。
    僕のブログは人に発信しているというよりは、自分自身の考えや気持ちを確かめるためのメモ代わりだけど、 Mr.heydayのようにきちんと情報を整理して発信するのは、すごく価値があることですよ、これは。
    将来どんな形で自分のもとに返ってくるか楽しみだね^^

  4. heyday

    > Mr.heydayのようにきちんと情報を整理して発信するのは、すごく価値があることですよ、これは。
    >
    >将来どんな形で自分のもとに返ってくるか楽しみだね^^
    嬉しいこと言ってくれますね~。またやる気でました。ありがとうございます。
    「give, give, give, and give before you recieve.」。
    発信することが、与えることになる、ってのをあまり意識はしていませんでした。
    少しでも役に立つ情報を、とは思ってはいましたけども。
    これからは、もうちょっと「与えること」を意識していこうと思いますです。

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