ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる by 梅田望夫

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫
筑摩書房 (2006/02/07)

現在、ウェブ(ネット)の世界がどうなっているのか、そして、これからどこに向かおうとしているのか、グーグルの脅威と可能性についての記述を主として、その他現在重要なキーワードとなっている「ロングテール」「Web2.0」「Wisdom of Crowds」等々について網羅的に議論されている。本著を読めば、この10年で大きく変化し、さらにこれからも変化しようとしているネットの世界について、一通り理解できる。ブログやSNS等についての記述も興味深い。
普段、ネットの世界に浸かっていることが多い僕としては、そのキーワードや起きている事象そのものについて既知のものも多く、世の中ってこんなに変わってんのかぁ、なんてことは改めて思ったりはしなかった。多分乗り遅れてはいないんだと思う。ただ、ひとつひとつの事例をシリコンバレーの歴史等も時々ふまえながら議論されている本著を読むことで、乗り遅れていない人達ともっとちゃんと会話ができるようになるな、という感じはした。
個人的には、

「世界政府っていうものが仮にあるとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部グーグルで作ろう。それがグーグル開発陣のミッションなんだよね」(P.15)

というグーグルのとてつもないミッションを知っても、「そんなことできるわけない」とは思わず「グーグルならやれそう」って思えた。そう思えたのには色々な背景があるが、特に、本著でも書かれている「Google Earth」というとんでもないソフトを仕事柄使うようになって、そのトンデモナサに脅威すら感じたというのが大きい。地球上全ての衛生写真が自分のPC上で見れてしまう。使ってみるとわかるが操作感も絶妙で、あたかも地球上を飛び回っているかのよう。こんな驚異的なソフトを、さらっと無料で提供してしまう(*1)グーグルなら、何でも出来てしまうのでは、と本気で思える。
多分、今の時代は、ほとんどの人がネットの世界と何かしらつながって生活していると思う。そのネットやウェブは、今やただ便利なツールというだけではなく、個人の生活・考え方からビジネスや世界のありかたにまで、大きな変化をもたらしている。近い将来、その変化は常識になっていくことは間違いなくて、その大きくて急激な波に飲み込まれないように、本著のような良書から正しい情報を得ておいても損はないと思った。
*1 より機能が充実している有料アカウントもある

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