横浜みなとみらい赤レンガ倉庫で開催中の、「横浜トリエンナーレ2005連動企画 OFF WAR −戦争のないロバート・キャパ−」の『第三部:キャパ兄弟−戦争と子供たち』を観て来ました。
今回はロバート・キャパだけではなく、その弟コーネル・キャパの写真も展示されていました。この兄弟の撮る子供達の写真には慈しみと愛、子供に対する希望に溢れていて、胸が熱くなります。
今回の写真展の作品をまとめた冊子が販売されていたので購入したのですが、そのなかに今回の写真展で紹介されていた言葉が掲載されていたのでいくつか紹介させていただきます。
「キャパは、戦争は写真に撮れないと知っていた。なぜならそのほとんどは感情だからである。しかし彼は、最前線に身をおく事でその感情を写真に撮った。-彼は子供の表情の中にすべての人々の恐怖を映し出す事ができた。彼は思考を撮ることができた。キャパの作品は、それ自体が偉大な心と圧倒的な思いやりを絵にしたものである」
(ジョン・スタインベック)
「思考を撮ることができた」ロバート・キャパ。写真というのは一瞬を切り取るものです。その切り取った一瞬に思考を残す。そこには、対象に対する強烈な興味(愛といってもいいのかも)が存在すると思います。ロバート・キャパの写真の凄さ・深さとは、まさにそこだったというのが、残された写真や彼と関わった人達の言葉から伝わってきます。
戦争と平和-全く違うもののように思われるこの二つには共通点がある。どちらも人間が生み出すものであることだ。戦争は、人間が人間を殺す、暴力の営みである。平和は、人間が人間を生かす、慈しみの営みである。ロバート・キャパは自分を見失わずに、この二つの現象の奥にある本質を見ることができた。彼の作品は人間の生命への慈しみの心と、人類に対する深遠な思いやりを示したものである。
慈しみのフォト・ジャーナリスト – エピローグ
戦争も平和も人間が作る。言われてみれば当たり前のことですが、普段の生活でそれを意識することはあまりないように思います。だけど、それはまぎれもなく真実で。その真実に深い思いやりでレンズを向け続けたロバート・キャパ。彼が残した写真から伝わるもの、それを真摯に受け止め、深く、深く考えること。そして何か、自分にできることをすること。それが今を生きる僕達の使命なのではないでしょうか。
第一部~第三部で多くの写真を観て、感じて、そんなことを思いました。
» ロバート・キャパ – Wikipedia
» OFF WAR(『第一部:戦場のキャパ』の感想)
» その想いが世界を作る(『第二部:戦争のないキャパ』の感想)