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仕事は、かけ算。 by 鮒谷周史

仕事は、かけ算。 ~20倍速で自分を成長させる
鮒谷 周史
かんき出版 (2006/06/07)

 大切なのは、この「労働の質」と「労働の密度」の値を大きくしていくことです。
 なぜなら、どんなに頑張っても、一日を24時間以上に増やすことはできませんが、仕事の質と密度は、工夫しだいでいくらでも高めていくことができるのですから。
【成果物=労働の質×労働の密度×労働時間】
 という公式において、まず注力すべきは労働の質と密度であり、労働時間は、あくまでも質や密度を高めたあと、労働の総量を膨らませるために意識すればいいのです。(P.15)

16万人(2006/8/11時点)の読者を持つ最大メルマガ「平成・進化論」の発行者、鮒谷氏初の著書。これまでに1000号以上発行している「平成・進化論」のエッセンスを50のトピックにぐっと詰め込んである本著は、読みやすく、それでいて読み応えがあります。読み応えがある、と感じるのは、読んだ後に即実践できるトピックが多いからかもしれません。
冒頭に紹介した言葉にある公式【成果物=労働の質×労働の密度×労働時間】を中心とした「かけ算思考」をベースに様々な考え方や実践法が紹介されています。この公式【成果物=労働の質×労働の密度×労働時間】を日々の仕事のなかで意識するだけで、自分のなかでかなり大きな変化が起きると思います。
また、特に個人的に効いているのが、「やるべきこと・やりたいことをやるための心構え、実践法」と僕の中で解釈しているトピック。

待っていても、やる気は沸いてこない。
悶々としている暇があったら、とにかく動く!(P.60)

「心がやる気を出すから身体が動くのではなく、身体を動かすからこそ心に火がつく」と鮒谷氏がおっしゃるとおり、やる気になったらやる、と思っていても、なかなか「やる気になる」ときは来ません。これは僕も実感しています。やる気がないな、と思うときでも、とにかく身体を動かすことでやる気があとからついてくる、なんてことはよくあります。資料作りが面倒だな、と思っていても、とにかくタイトルだけでも書いてみることで、やる気が出てくる、なんてことは割と誰にでも経験があるかと思います。
また、本を読みたい、読まなきゃ読まなきゃ、なんて思っていても、本に埃がたまっていくだけです。本を読もうと思ったら、とにかく本を手にとって埃を払って、2分でもいいからざっと全体を俯瞰して読んでみる。そして2分以上読めるようだったら、あと10分、またあと10分、という感じで、どんどん読めてしまえるものなのです。これに気付く前は僕も積読本を目の前にして、読みたいなあ、読まなきゃなあ、時間ができたら読もうか、なんて思っているだけで、埃を払おうともしていませんでした。まずは埃をはらうついでに2分間俯瞰する。名付けて、「埃をはらうついでに2分間俯瞰読書してそのまま本を一気に読んじゃうメソッド」←そのまま。
他にも効いているトピックはたくさんあるのですが、書いているとキリがないので、ここではもうひとつだけ。

なかなか行動に移せないで居るときに、
「あ、おれはすぐやる共和国の大統領だった」
と一言つぶやいてみると、不思議なことにその気になって、すぐに身体が動くのです。(P.15)

これは効きますね。大統領が怠けてちゃ国民に示しがつきません。
僕も既に「すぐやる学校の校長先生」に就任しています。子供達に「何でもすぐやることが大切」と教えている「すぐやる学校の校長」が怠けてちゃ、生徒や他の先生に示しがつきません。子供の模範となるべき自分の行動が子供の未来を変えてしまうかもしれない、と思うと、身体が動き出します。
ここで書いたこと以外にも、実践的な内容が多く、それは全て鮒谷氏が実践してメルマガで発信してきたことがベースになっているからに他ならないと思います。今までに読んだ自己啓発系の本のなかでも、特に実践に近い内容じゃないかな、と個人的には思います。本を読んでも実践できない、なかなか身体がついてこない、という人には実践書としてお勧めです。

カエルを食べてしまえ! by ブライアン・トレーシー

カエルを食べてしまえ!
カエルを食べてしまえ!

posted with amazlet on 06.08.10
ブライアン トレーシー Brian Tracy 門田 美鈴
ダイヤモンド社 (2002/03)

 昔から言われていることに、こういうのがある。「朝一番に生きたカエルを食べれば、その日の最悪事はもう終わったと安心して過ごすことができる」(P.3)

コンビニに立ち寄ったときにふと目について購入した本です。最近はコンビニで自己啓発本が売ってたりして、自己啓発分野に対する何となくひいたイメージがなくなっていってるんだなと実感したり。
「カエル」というのは「最も難しくて重要な仕事」のこと。こういう類の仕事は後回しにして簡単な仕事から手をつけてしまう、なんて人は少なくないだろう、そうではなくそういう仕事を朝一番にやっつけることが大切なのだ。という主張をベースに、ではどうすればカエルを朝一番に食べることができるのか、ということがシンプルに紹介されています。
カエルを食べてしまえ!という奇抜な題名(と表紙)でありながら、内容は自己啓発本で言われていることがほとんど全てシンプルに書かれています。ある意味淡々と。「目標を明確にするために紙に書こう」という章が最初に来ていることから察しがつくかもしれませんが、とてもオーソドックスな内容だと思います。
初めて自己啓発本を読む人には入門編として、今まで何冊か読んで実行できている人には見直しという意味で、実行できてない人には反省とリスタートという意味で、役立つ本ではないでしょうか。薄い本なので読書時間もさほどかかりません。気軽な気持ちで読めます。読んだあとにどれだけ実践できるかによって、この本の価値は変わってくるかと思います。それは言うまでもなく本人次第なのですが。個人的には、こういうシンプルな内容の本を読んだあとのほうが、気楽に実践できるような気がします。厚い(熱い)本だと、何となく身構えすぎちゃう、というか。