獄中記

獄中記

5月末から6月頭にかけて約二週間ほどイギリスとイスラエル出張に行ってきた。飛行機の移動も長いし、何かじっくり読める本を持っていこうということで、以前に購入して手をつけずにいた本著を持っていくことに。正直、神学や哲学に関する著者の思索は、僕にとっては非常に高度であった。読み始めてすぐにそれに気づいたのだが、時折はさまる脚注を追いながら、何とか出張中(といっても帰りの飛行機の中)で読了した。

日記や弁護団への手紙、あるいは友人、外務省の後輩への手紙という形で、国策捜査や、神学、哲学に対しての著者の思索が本書ではまとめられている。それらは著者のいわゆる「塀の中の知的生活」を総括したアウトプットとも言えるもの。著者の「塀の中の知的生活」は凄まじい。以下、Amazono商品紹介より抜粋。

初回公判まで接見等禁止措置が取られる中で、4畳の独房で紡いだ思索を克明に記す。著者は拘置所で、それまで「腰を据えてしたかったけれども、時間に追われてできなかった」ことに取り組んだ。神学や哲学の古典をじっくりと読み、ドイツ語やラテン語の勉強に励んだ。学術書を中心に約250冊を読破し、原稿用紙5000枚、大学ノート62冊のメモをまとめている。

Amazon.co.jp: 獄中記: 本: 佐藤 優

これほどの「知的生活」を通してまとめられた本著を、通読したとはいえ、今の僕の知識でその内容を消化しきることは難しい。

著者が「国策捜査」と断じる著者自身や鈴木宗男衆院議員の逮捕に関する一連の「事件」についてTVや新聞のニュース程度の知識しか持ち合わせていなかった僕は、恐らく他の多くの「一般人」同様、著者と鈴木宗男衆議議員に対して悪い印象しか持っていなかった。本著を読んでいかに自分がメディアの情報を鵜呑みにし、あちら側の思惑通りになっていたかということに気がついた。この辺りについては、著者の『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて 』のほうがより詳しそうなので、そちらを読んでみることにする。そのあとに、本著をもう一度読んで、著者の思索をより理解したいと思う。

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