「ネットって怖いもの」を啓発する映画 – 『誰も守ってくれない』

GW中に観たDVDの感想その1。(若干ネタばれあり)

誰も守ってくれない

誰も守ってくれない プレミアム・エディション<初回生産限定> [DVD]

内容(「Oricon」データベースより)
モントリオール世界映画祭最優秀脚本賞受賞作!心に傷を抱えた刑事と殺人犯の妹となった少女を通して描く社会派ヒューマン・サスペンス。ごく平凡な四人家族の船村家。ある日突然、その一家の未成年の長男が、小学生姉妹殺人事件の容疑者として逮捕される。刑事・勝浦と三島は、その容疑者家族の保護を命じられる。15才の娘の沙織の保護は、彼女と同い年の娘を持つ勝浦が担当することになる…。

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結構期待して観たのだけど、個人的には正直期待はずれだった。

「殺人犯の妹」と「心に傷を抱えた刑事」の心の交流みたいなものが描かれてはいるのだけど、どうにもぱっとしない。迫害される「殺人犯の妹」の状況や心情、そしてその少女をどのように守るのか、というのがこの作品の肝だと思っていたのだけど、それがメインで描かれているわけではなく、保護する刑事も心に傷を抱えていて、その傷と向き合う刑事の状況や心情も同様に描かれていて、その結果、何だかぼやけた印象の作品となってしまったのでは、と感じた。

内容に対する感想は人それぞれなので、僕の感想などまあ聞き流してくれて構わないのだけど、内容に関する感想以外にも言いたいことが。どっちかというと、これが特に言いたいことなのだけど、この作品のなかで描かれているネットの世界がダークすぎる。未成年である殺人犯やその妹の名前、さらには妹と刑事がどこに隠れているか、というような内容がネット上の掲示板で暴露されている、というシーンが何度か出てくるのだけど、この描き方があまりに「怖く」描かれていると思う。

この作品で描かれているインターネットとは、

『インターネット上ではどんな情報もあっという間に晒されてしまって、ひとつの掲示板が潰されてもまた新しいのが出てきて逃げ場が無い。さらにそれは一過性のもので、新しい「ネタ」があると、前のネタはすぐに忘れられてインターネット上の興味は新しい方に流れて行く』

といったものになっている。

何のために、インターネットをここまで怖く残酷なものとして描く必要があったのかよく分からないが、作品のテーマとして「加害者の家族に対する迫害と、それからいかに守るのか」というのがあったはずで、そのテーマを伝えるのに、ここまでインターネットを「悪」として描く必要はなかったのでは、と思う。

そういう怖さが際立ち、それに加えて上記で少し触れた「ぼやけた印象」を持たせるような人物設定となっているので、結局何が言いたい映画だったのか、分からなかった。結構期待していた作品だっただけに、残念だった。

See also

この映画が放映される少し前に映画との連動企画としてTVで『誰も守れない』というドラマをやっていたらしい。

このドラマの放送日と同じ日に公開された映画『誰も守ってくれない』と連動した企画になっており、内容は映画版の4ヶ月前に起こった事件を描いたものになっている。
映画の『誰も守ってくれない』は、「加害者の保護」の視点・観点で描かれているのに対して、このドラマでは、「被害者の保護」という映画と逆の視点・観点から描かれた。
最後には、「誰も守れない そして 誰も守ってくれない」というテロップが表示され、『誰も守ってくれない』の宣伝も流された。

誰も守れない – Wikipedia

この内容からすると、このTVドラマを事前に観ていたところで、映画本編に対する感想は変わっていないだろうなと思う。それに映画本編を観たあとでは、このドラマを特に観たいとは思わない。

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