数学的センスが身につく練習帳

学校の算数・数学の授業だけでは知りえないような、算数・数学のトリビアが満載の本著。お父さんと子供の会話形式という本文が分かりやすく、加えて各トリビアのまとめや図表が理解をより助けている。

「数学的センスが身につく」と題しているだけのことはあり、本著を一読するだけでも、少なからず数学あるいは数字そのものに対する考え方が柔軟になると同時に深くなる。「本書は小学生レベル」(「はじめに」より)と著者の野口氏は述べているが、その読者対象は決して子供に限っているわけではなく、むしろ頭が凝り固まった数学的センスのない大人こそ読むべき本のように感じた。

なかでも、速算術として紹介されている複数桁どうしの計算方法などは、知っていて損はない。インドでは、かけ算の「九九」が二桁あるという話をどこかで見聞きしたときに、ただ全てを暗記するだけではなく、数字のトリックとも言える様な計算方法をインドの人はセンスとして身につけているんだろうなと感じたものだが、恐らく本著で取り上げられているような速算術もそのひとつとなっているんだろうなと思う。

「センス」という言葉には、感性とかそういった感覚的なニュアンスが含まれていて、ものによってはセンスの磨きようがないものあるかもしれないが、「数学的センス」に限っては、こういったトリビアをどれだけ知っているか、ということがセンスを磨くうえでとても重要になってくるように思う。そういう意味でいうと、本著を読むことで数学的センスは確実に身につく。

個人的には、数学的各トリビアよりも、第4章「論理的思考を身につけよう!」で紹介されているような「パラドックスの話」や「じゃんけん必勝法」等が楽しめた。また、第3章「算数脳を鍛えよう!」で紹介されている「ミツバチの巣穴」は自然界にも存在する数字の不思議としてとても興味深い内容だった。

本著の内容は、ぜひ子供たちにも伝えたいところだが、子供に伝える前に、まずは親が本著を読んで、算数・数学・数字そのものを楽しみ好きになることだ。自分自身が楽しめないようなことを、子供に教えようとしたり、やらせようとするのには無理が生じてくる。

「数字は苦手」という人でも大丈夫。「紙を50回折るとどうなる?」という問いに対する答えを知りたいと思う気持ちが少しでもあれば、充分数字を楽しめる。答えは本著42ページにて。


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