何だろう、この読後感は。淡々としていて、切なくて、衝撃的で、寂しくて、愛おしくて、リアルで。
本著で語られる三人と「施設」とその施設に関わる人々の物語は、感情移入と客観視のちょうど間に浮遊しているよう。色んな感情が混ざり合っている。その感情の波というか渦というか、読んでる最中は静かに時にさわやかにそういう感情を感じさせながら、それでいて読後しばらくココロの壁にへばり続けるように染み入っている。初めての感覚だ。
思いっきり泣けるわけでも、笑えるわけでもない。淡々と、ココロに入ってくる物語。ココロの奥の方で感情・感動が爆発していて、それを読書中も読後も、じっくりと味わえる。何というか、うまく言えないけど、そんな感じの物語。