何となく、Apple TVで映画レンタルでもしようかな、と思いたってブラウズしてみて目に止まったのがこの作品。
もう何度も見ている大好きな映画。日本公開は1996年ってことで、もう15年も前の映画なのかーと改めてしみじみ思いつつ、また観てみた。
そういえば、公開当時映画館でこの映画を観たときにパンフレットを買ったのだけど、そのパンフレットが封筒に入っていて、「本編見終わるまで絶対に開けるな!」っていうシールが貼ってあったなー、なんてことを思い出した。
そんな趣向がされているパンフレットが用意されている映画だけに、まだ観ていない人は前知識全くナシで観ることを思いっきりお勧めします。
というわけで、このエントリーの以下内容では、今日久々に観たこの名作映画の個人的感想とかをツラツラと書いていて、それがしかも激しくネタバレしてるので、まだ観ていない人はこの先は絶対に読まないでください。いやほんとに。
では、久々に観たユージュアル・サスペクツの感想をダラダラと書いてみる。
やっぱり、なんと言っても、あのラストシーン。警察署から出てきたヴァーバル・キントが左足を引きずりながら歩く、その足だけが映っていて、その足が徐々に普通に歩き出す、というあのラストシーンを初めて観たときは、完全に騙されてた!としばし呆然としたものだった。結局、ヴァーバル・キント(=カイザー・ソゼ)が警察署で話していた内容がどこまで本当なのか、というのは、あの話が全部ヴァーバル・キントの作り話だった可能性があるので、分からないまま。個人的には、多分ほとんどが本当の内容で、一部作り話を入れてディーン・キートンがカイザー・ソゼだった、というように捜査官に思い込ませていた、というところかな、と。
そして、その作り話や捜査官との会話のなかで出てくるエピソード等が、その会話をしている部屋の中の壁に貼られた書類等から単語を拾っていた、というのが何とも面白い。ヴァーバル・キントの回想話(作り話)のキープレイヤーとなるカイザー・ソゼの部下「コバヤシ」の名前も、捜査官が持っていたコーヒーカップの底に書いてあった陶器ブランドの名前だった、とかね。その辺りを知ったうえでこの映画を見直すと、ヴァーバル・キントが捜査官との会話中にそのコーヒーカップの底をじーっと見ている、というシーンもちゃんと描写されていることが分かって、そういう伏線がまた面白い。
伏線、といえば、「ユージュアル・サスペクツ」ファンの間では有名な話だとは思うのだけど、左半身(左手、左足)が不自由なはずのヴァーバル・キントが捜査官に強く詰め寄られて、思わず左手ではらうというシーンもあるんだよね。最初観たときは全く気づかなかったのだけど、もう一回観てみると確かに左手を普通に動かしていて、こんな重要な伏線に気付かなかったということに、悔しいというよりも面白くて仕方なかったものだ。
あ、あと、ディーン・キートンをカイザー・ソゼが撃つシーンでは、左手でたばこに火をつけて、左手で銃を構えて撃つ、といったように、カイザー・ソゼは左利きということをあえて分かりやすく描写していたりして(つまり、左半身が不自由(というふりをしていた)ヴァーバル・キントがカイザー・ソゼではないという思い込ませ)。
それに、カイザー・ソゼの過去の悪魔な所業を語るときのヴァーバル・キントが、何だかやたらと誇らしげ、というか自慢げに話している、というのも面白い。あのカイザー・ソゼの過去が本当の話なのかどうかはわからないのだけど。
そんなこんなで、もう何度も観ているけど、まだ何か気付いていない伏線がありそうな気がする。初めて観ても面白いし、そのあと何度観ても面白い、そんな映画はなかなかない。ヴァーバル・キント(カイザー・ソゼ)を演じたケヴィン・スペイシーをはじめ、キャストがまた渋くて演技派でいいんだよなあー。
いやー、ほんと好きだわ、ユージュアル・サスペクツ。また観たいな。観よう。
(追記)
↓なサイトを見つけた。これは熱い…! 「ユージュアル・サスペクツ」ファン必見!
本当に凄い映画ですね。
公開から数年経った今でも観客を騙し続けている映画です。
ソゼ=キントだと。
そんな訳ありません。
この映画、キントの話で大半成り立っていて、嘘と事実が混じり合っていますが、事実だけに目を向けて考えると、キントがソゼでないのは明白です。
ソゼの存在自体が曖昧ですから、簡単にボスと呼ぶ事にします。
この映画で事実はそのボスが自分の顔を唯一知ってるハンガリー人を殺すという事です。
これがこの映画の根本の話です。これも否定したら全て成り立たなくなり、どんな解釈も可能になってしまうので、これは根本として揺るがせないと思います。
さて多くの人が言うようにボス=キントだとしたら大きな矛盾です。自分を知ってる者を殺すために、警察やその他大勢に顔や素性を知られてしまった事になりますね。とすると今後どうなるでしょう?大きな矛盾です。
それに反して、この映画終了時点で他人に顔や素性を全く知られれない人物は誰でしょうか?そうです、コバヤシだけです。キントはコバヤシの子分という関係でしょう。
冒頭の船上のシーンにおいて、わざわざ左手で金のライターを点けるカイザー・ソゼに対し、キートンは(その左手、不自由じゃなかったのかよ)とでも言うようにあきれる表情を見せます。そして「何時だ?」と聞いたときに、カイザー・ソゼがコートの袖口からのぞかせる金の腕時計。
ラストシーンで、保釈されるヴァーバル・キントが警察署で金網越しに受け取る所持品「金の腕時計1コ、金のライター1コ」が、カイザー・ソゼ=ヴァーバル・キントであることを知らしめます。
火災の船上から大やけどを負って運び出されたアーコシュ・コバッシュの証言によって描かれた犯人のモンタージュは、ヴァーバル・キントそのひとであることを決定的なものにしています。
身体障害を演じて引きずっていた左足が、正常な歩みになるカットは、ヴァーバル・キントが正体「カイザー・ソゼ」を現した瞬間です。
何度も見直したくなる面白い映画ですね!